契約とは何か

今回は、契約とは何かと題して、少し具体的に契約のお話をしたいと思います。

会社を経営していると(もちろん個人の皆さんでもあると思いますが)、例えばオフィスや駐車場を借りるために賃貸借契約を締結したり、取引先の会社との間で物品の仕入れのために売買契約を締結したり、業務の一部を外部委託するために業務委託契約を締結したりすることがあると思います。また、弁護士や税理士との間では委任契約を締結するでしょう。

このように会社を経営していくにあたっては様々な契約をすることが必要不可欠です。そこで、本章では、契約とは何かということ等について述べたいと思います。

契約とは、複数の意思表示の合致、すなわち申込みと承諾によって成立する法律行為と言われています。この契約は、契約書がないと成立しないということではありません。例えば、スーパーで物を買ったりするときの例のように、契約は、原則として、口頭でも成立するのです。世の中にはこのように契約書を作成しない契約もたくさんあります。

一方で、とくに重要な契約においては、契約書が作成されることが通常です。例えば、オフィスや住居を賃借するときの賃貸借契約などがそうです。
それでは、契約書作成の目的やメリットはどのような点にあるのでしょうか。

契約とは何か

  1. 合意内容や債権債務(権利義務)を明確にすること

    まず、第1に、どのような合意、取り決めをしたかの証拠となるということです。

    確かに、先ほども触れたように、口頭、すなわち口約束でも契約は成立します。しかし、口約束では、後からそんなことは知らないとか決めていないといわれる可能性があります。そのような際に、トラブルをできる限り排除して、お互い何をするべきなのか、双方の当事者の債権債務(権利義務)がどのようになっているのかを明確にする効果があります。

  2. 紛争(トラブル)発生の解決指針となること

    第2に、万一の紛争(トラブル)発生時の解決の指針になるということです。
    契約をして、取引等をしているとトラブルや何らかの問題が発生することは比較的よくあります。そのような時でもお互いに話し合ってスムーズに解決できるとすれば、それは大変良いことです。しかし、お互い自分の利益のために主張がぶつかり合って、なかなか解決に至らないというケースもあります。そのような時に、例えば、どういう場合に契約が解除できるのかとか債務が履行されないときに誰がどのような責任を負うのか等、トラブル解決の指針を定めておけば、無駄な争いを避ける効果があります。
    このような契約書作成の目的やメリットを考えると、会社にとって取引先等と契約書を交わし、契約の内容を明確にしておくことは大変重要なことです。
    万一のトラブルに備え、きちんとした契約書を作成しておくことは、リスク管理の第一歩となります。しかし、立ち上げたばかりのベンチャー企業を経営されている方や会社の業種によっては、取引においてこれまで契約書をあまり作成されたことのない方もいるかもしれません。もし、契約書の作成等にあたって不明なこと、分からないことがあればいつでもご相談いただければと思います。