未払い賃金の回収に時効はある?
債権には、時効制度が定められています。そのため、一定期間を過ぎると権利消滅が認められるのです。
それは「消滅時効」と言われるもので、民法166条に定められています。一定期間の権利の不行使を原因として、権利消滅の効果を認めるものです。
そして債権を回収しようとするときには、まず債権の種類やその原因など、様々な状況を確認する必要があります。債権の時効期間は一律ではなく、債権者や種類によって回収可能な期限が決まっているのです。
「未払い残業代を請求したい」「未払い賃金を請求したい」などの賃金債権の場合、労働基準法115条によって、債権が2年で時効消滅することと決められています。この時効期限は、退職手当を除く賃金や災害補償などの請求権が対象となります。そして、残業代等についても同様です。
このとき気にしなければならないのは、2年という期間をいつから数えるかという問題です。
法律では、債権の消滅時効が始まる「起算点」は、「消滅時効は権利を行使することができる時から進行する」と規定されている点です。
賃金債権の時効の起算は、通常給料日の翌日から行うことが可能です。もし、2016年1月分の給料が2月25日に支払われる場合、起算点は2月26日となります。そして、時効期間が終わる日は2018年2月25日になるということです。
2年間過ぎたら自動的に時効になるの?
もし、時効を有効にするためには、ただ2年間という期間が過ぎればよいわけではありません。なぜなら、時効によって利益を受けるほうがその意思を示さなければ、時効が有効にはならないからです。時効の利益を受けるために、それを主張する行為を「時効の援用」といいます。
また、「時効の援用」を有効にするためには、他にも必要なことがあります。それは、債務者がその金額を支払っていないということです。もし、金額の一部を支払っていたり、「支払いを送らせて欲しい」などと申し出ていたりした場合には、債務者の援用権は失われてしまいます。つまり、時効が有効ではなくなるため、請求することが可能になるのです。
まずは「いつの賃金が未払いなのか」ということを確認しましょう
未払賃金が発生するケースでは、会社の経営難など何らかの理由があるケースも多く、「経営が厳しいから請求しても無駄だろう……」などと思われている方もいるかもしれません。また、転職によって働く環境を変えてしまい連絡が取れず、請求を諦めてしまった方もいるかもしれません。
しかし、未払賃金は2年前まで遡ることができること。そして、「時効の援用」がなければ時効は確定しないので、未払賃金を取り戻すチャンスが残っているかもしれません。まずは、「いつの賃金が未払いなのか」ということを、日付を含めて確認してみましょう。
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