相談前

ご相談者様は、結婚を機に実家を離れて独立して暮らしていましたが、妹様は独身のまま実家でご両親と同居していました。お母様、お父様が相次いでお亡くなりになり、遺産相続が発生しましたが、お父様が遺された預貯金の残高が予想よりも随分少なくなっていることが分かりました。ご相談者様は、お父様が妹様に生前贈与をしていたのではないか、という疑問をお持ちでしたが、妹様はそのようなことはないと強く否定していました。

◯ 相談後

お父様の預貯金通帳は妹様が管理していましたので、妹様に開示をお願いしましたが、断られたことから、このままでは公平な遺産分割が難しいと判断し、家庭裁判所に遺産分割協議調停を提起し、その手続の中で、法律上認められた特別な方法で金融機関から取引履歴の開示を受けることができました。その結果、口座から多額の使途不明の出金があることが発覚したため、妹様に一定の生前贈与があったことを前提に、ご依頼者様が法定相続分以上の遺産を確保する形で調停が成立しました。

弁護士からのコメント

573099_1生前贈与など、特定の相続人が亡くなった方から特別な利益(「特別受益」)を得ていた場合、遺産分割にあたっては、他の相続人との公平をできるだけ確保するため、特別受益の額を遺産の額にいったん含めて(「持戻し」)、それぞれの取得額を計算することになります。もっとも、生前贈与は、当事者のみで他の相続人に知られることなく実行できるため、他の相続人はその存在はおろか、痕跡さえもつかめないことも決して珍しくありません。このような場合、遺産相続案件の経験が豊富な弁護士にご依頼頂ければ、様々な法的手続を駆使して、生前贈与の存在や金額を突き止めることができ、少しでも公平な遺産分割が実現できる可能性が高まります。

弁護士:加藤聡一郎